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新築一戸建て

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house cho -斜めの土地に平らに住み着く-

福岡県春日市

家族構成
夫婦+子1人
構造規模
木造2階建て
用途
専用住宅
敷地面積
420.75㎡(127.27坪)
建築面積
91.13㎡(27.56坪)
延床面積
109.83㎡(33.22坪)
設計監理
人の力設計室
構造設計
きいぷらん
施工
株式会社原口建設
Photograph
Yousuke Harigane
建築家コメント
そこに人も住める建築|非均質へのゆらぎ

宅地開発された住宅街にありながら、ほぼ溜池の法面である敷地には、何も建たず半世紀。わずかな平地部分が月極駐車場として利用されてきただけであった。そのおかげと言ったら皮肉だが、法面にはモチ、ヒサカキ、クスなどの実生木が育ち、北部九州らしい照葉林が繋っている。

これら先住者である木々が育んだ環境を取込めるゾーニングを模索し、そこに人が住める建業環境の設計を心がけた。まず西側の木々と溜池に対しては大きな掃出し窓を開ける。ありがたいことに西日は常緑樹たちがほどよくさえぎってくれる。
反転して接道する東側は通行者へ配慮して閉じつつも、上部に水平連続窓を設け、池から吹き上がる風を空へと流した。平地部の利用を優先した結果、南面採光はとれていないが、天井面を反射板とすれば高窓の光を拡散できる。
こうして環境ゾーニングが整ってきたところで骨格を与える。構造はシンプルな木軸で組上げたが、一部顕在化した梁や柱は空間を機能分割するきっかけとして利用した。

ここを生活の主空間とし、周囲に水廻りや就寝の従空間を配置、さらに外周には内と外をつなぐ半屋外のデッキやアプローチの大庇を補助空間として配置。駐車場だった平地部分を目一杯活用した。
立ち上がった環境はおおらかに空間となったものの、住むにはまだスケールがブカブカしている。そこで感覚をゆらがせる2つの手法を用いて、空間を身体の延長へ近づけた。

1つ目は寸法のゆらぎ。
施主夫婦のモデュロールから生活寸法をつくり、これに空間を呼応させてゆく。人体寸法は個体差が大きく非均質であり、生活習慣や癖も各々個性があって均質に揃えるのは難しい。しかし現在の住空間は、工業製品からなる建材寸法の反復がもたらす均質要素が強く、個体差を後回しにするようなぎこちなさを感じてしまう。

人々の営みに呼応してきた古い集落のような、身体の延長に空間を感じる設計はできないだろうか。試行錯誤の結果、「均質要素をゆらしたりずらしたりすることで、非均質となった空間は身体に馴染みやすくなるのではないか」と考えて設計している。
この生活寸法から棚や階段、家具をつくると、建築の骨格とは異なり均質に割切ることができなくなる。
この割切れない譲歩から生み出されたゆらぎが、内壁を走る押縁の非均質な割付けとして表れてくる。

2つ目は配色のゆらぎ。
斜面地でサバイバルしてきた照葉樹林の葉はキラキラと生命力にあふれている。これと正対し拮抗するために、内壁はラワン合板を柿渋と弁柄を混ぜて常緑の補色とすべく赤茶色に塗装した。加えて、外壁やデッキは二色を混ぜた物理補色の灰色としており、この三色の塗り方、重ね方、材質で要素や用途ごとに配色を検討した。似ているけれど少し違う色たちがインテリアに遠近をつくり、ゆらぎが表れている。

この2つのゆらぎによって空間は非均質となり、身体から衣服、家具、その先の存在として建築を触れるようになる。
また、生活行為の主たる機能だけでなく、散らかしたりする煩雑さも受止める度量が上がったように感じる。
それは予定調和でない美しさであり、都合のよさでもあり、怠けることも呆けることもある、人が住む建築の在り方だと考えている。

このたび、木々に遅ればせながら施主家族がこの土地へ住み着く。平地の住人が車から人に代わったことで、多くの生物が住む斜面地はどう変化してゆくのだろうか。
野性の植生がもたらす恩恵と弊害を、生活にどう取込んでゆくのだろうか。自然も社会も留まることなく緩やかに進んでゆく。その歩調に巻き込まれつつも、この建築が住人や木々と共に成長し、彼らと悲喜を分かち合う存在であって欲しい。 閉じる

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