お若いH様ご夫婦から「家族が安心して暮らすための家を建てたい」と相談があったのは、
今年の2月のことでした。今お住まいの関西からご主人の故郷である長崎県大村市に帰ってこられ、
大村をこれからの暮らしの拠点にしたいとのこと。
コンペの前には、家づくりコンセプトシートを作り、家づくりのイメージを固めていきますが、
その中の『テーマ・コンセプト』には、奥様のこんなメッセージが綴られていました…
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ただ暮らすことに便利なのではなく、いつも文化的に心が豊かに戻れるような場にしたい。
普通の暮らしを楽しめる(掃除や家事など)大切にできるようなイメージ。
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今回、H様邸のためのコンペに参加していただいたのは、
・class の新田崇弘さん
・設計事務所アルケスタ の岸川勝也さん
・福島建築設計の 福島智子さん
の3名。
一番手は、class 新田さん。今回ただお一人、平屋の案。
暮らしのさまざまな要望を大きな屋根の下にまとめたプランです。
CGを使って家の内外の様子を具体的に説明してもらいました。
二番手は、アルケスタ 岸川さん。
岸川さんは、奥様が取り組んでいる活動『まちライブラリー』に注目し、
家の正面に地域の方との交流もできるようなライブラリーのある家を提案していました。
最後は、福島建築設計 福島さん。
コンセプトは、「”庭”と”風景”につながる暮らしの提案」。
活動の庭と、家族の庭がそれぞれ東西に配置されており、内部の間取りも使いやすそう。
素材選びや環境性能についても、詳しく分かりやすく、提案をしてくれました。
トータルで3時間に及んだH様邸のコンペ。
さて一体、どなたを選ばれるんでしょう?
それにしても、コンペに同席していていつも思うこと。
同じご家族、同じ要望、同じ敷地、同じ条件なのに
コンペ案は三者三様、同じものが今までひとつもない!
住む人の要望をそのまま図面に落とし込むのではなくて、
建築家それぞれの経験とか、住まいとはこうあってほしいという独自の価値観という”エッセンス”を加えて
練ってこねて膨らませて、かたちにしてくれるから・・・なのかな?
それが建て主の気持ちにピタッ!と嵌まれば、こんなに良いことはありません。